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AVGレビュー > フリーAVG > ナルキッソス2

作者サイト名:ステージ☆なな
作者サイトURL:http://stage-nana.sakura.ne.jp/

―もう、何を言っていいやらわからない―

 フリーゲームユーザーに衝撃を与えた前作から2年、ついに公開されたナルキッソス2はどんな感想をもたらして くれるのだろうと、興奮を抑えながら読んだ(もっとも、プレイ前から傑作だろうということはわかっていたけれど)。 結果は文句なし、期待以上の作品だった。

 時は前作の6年前。今回の主人公はふたりいて、明るい性格で車好きな姫子と、前作のヒロインであるセツミ。 この時点ではセツミはまだ7Fにはおらず、その代わりに姫子が7Fにいるという構図。姫子はどういう経緯で病気に 冒されたのかは説明されず、ただ死が遠くないことだけが描写されていく。姫子自身も、以前に7Fの患者をなにも できずに見送った経験の持ち主。悲劇はずっと連鎖しているということが、プレイヤーの胸に沁みる。死にゆく者を ネロ、寄り添う者をパトラッシュ、残される者をアロア――という風にフランダースの犬のキャラに喩えるあたりは、 さすがの巧さだった。そして終盤は、前作からのプレイヤーにはお馴染みのドライブ。前作が前作なだけに姫子は どういう終わりを迎えるのかと、読み進めるごとに怖さすら覚えた。

 徹頭徹尾空虚が漂っていた前作と比較すると、2にはいくらか人情味溢れる明るい描写がある。それが終盤の 悲痛をさらに演出してしまうわけだが、この点で人に勧めやすくなっている。また、制作者のあとがきとして宗教に 関する見解がある。姫子にエセカトリックを自称させたり、無力さを痛感させたり……カトリックを否定しないと 書いてはあるけれど、やはり「宗教などなんの役にも立たない」というメッセージが少なからず込められているのではと 思う。これはたぶん誰もが直面するメッセージで、完全な肯定も完全な否定もしようがない。クリアした感想は、 「何を言っていいやらわからない」だった。こういう人はわりと多いのではなかろうか。それでも、これほど心に残る フリーAVGは稀有だということに間違いはない。

 前作の補完的意味合いが強い作品だったが、ちゃんと1個の物語として独立しているし、なにより読ませてくれて ありがとうという気にさせられた。前作が同梱されているので、未プレイの人も何度もプレイしたという人も、また 読んでみるといいだろう。2から1への悲しい繋がりがこれでもかとプレイヤーへと突き刺さる。両方クリアすると、 最後のエピローグが見られるようになるので忘れずに。
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