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AVGレビュー > フリーAVG > 蜃気楼の教室

作者サイト名:電脳 不在証明
作者サイトURL:http://www.geocities.jp/souma_tou/

―希薄な少年と少女と―

 本作は「第1回 ミステリーズ!短編賞」にて最終選考に残った作品を手直ししてサウンドノベル化したとのこと。 つまりプロに限りなく近い質なわけで、読む前からわくわくしていた。読後感は、もちろん満足いくものだった。

 主人公の佐野は、誰に対しても距離を置く高校生。彼が唯一興味を示しているのは、前の席に座る蜃気楼の ように存在感のない少女だった。「そこに間違いなく存在しながらも、誰の意識にも上らない、そんな生き方が佐野の 望みだった」――いかにも現代の若者っぽい考えなのかなと思ったが、これは単なる設定ではなかった。

 その経緯からミステリ作品のような印象を受けるが、特に謎解きといった類の要素はなく、悩める少年少女たちの 群像劇だ。佐野のことが好きなクラスメイトと彼女を気遣う友人。それぞれの思惑が微妙に絡み合い――やがて 物語はたったの一行の文章で速度を増す。そして迎えたエンディングで、なるほど確かなトリックが使われていたと 気づく。誰に対しても距離を置くという主人公の設定がきっちり生かされていた。

 良質な短編というのはこういうもののことを言うんだと再確認した。あと単純に考えて、プロになるならこの作品と 同等以上のものを書かなければならないという指標でもある。というわけでプロを目指す人は要プレイだ。
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