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AVGレビュー > フリーAVG > 夜蝶綺譚

作者サイト名:ZIGZAG
作者サイトURL:http://zigzag-game.sakura.ne.jp/

―生粋のダークファンタジー―

 きたん、という名のつく物語は多く、当サイトで紹介しているだけでも茜街奇譚忌譚灯穂奇譚とある。作品に よって「き」の部分が異なるのが面白い。本作は「綺」。その文字にふさわしい、怪しく、暗く、綺麗な物語だ。

 中世的な趣のある、森の中の洋館。隔離された地下室の少女の退屈を紛らわせる相手として招かれた主人公が 体験する、妖美なる中編。「蝶憑き」と呼ばれる少女と館の管理人である黒服の少年、そして主人公の3人が、 あいまいな距離感を保ちながら交流してゆく。淡々とした、しかし叙情的な文体はすうっと入り込んで心地がいい。 演出も凝っていて、序盤で文字列がズームしてくるのには目を見張った。

 一読して、とても細やかな技巧の作品だと感じた。地下室に至る螺旋階段というのは、明らかに歪な館と人間の 隠喩だし、イベントCGを伏線としているというのはかつて見たことがなかった。主人公は実は女性ということが終盤で判明するのだが、CGを見ると確かに中性的な女性(ネタバレ)で あるとわかる。15歳以上推奨となっているとおり、少なからず性的な場面もある。エンターテインメントというよりは耽美な文学だ。面白いというより、妙に心に 残る。

 明るい読後感というのはないが、ちょっと暗い気分に浸ってみたいという人に最適。読むのなら夜、コーヒーでも 飲みながら、落ち着いた雰囲気に包まれながらがいいだろう。
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