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AVGレビュー > シェアAVG > 衛星軌道精霊伝 魔法少女サカナ

作者サイト名:サカナ・ノベル
作者サイトURL:http://www.sakananovel.com/

―軽妙洒脱なファンタジー活劇―

 魔法少女というジャンルはあまりに使い古されているためか、同人作品ではあまり見ない。その数少ないうちのひとつ であるまじかるブリンガーころなは非常にストレートで熱いバトルの魔法少女もので、ストーリーも王道だった。対して、 タイトルにそのまんま「魔法少女」とついているこの作品は、少々毛色の違う形になっている。

 主人公の三池三太が買い物をしに外に出たところ、街に隕石が落下。その落下地点でヒロインの「衛星軌道 精霊」サカナと謎の人物が魔法合戦を繰り広げていて……という風にいきなり事件の勃発から始まるのだが、この 間のよさがいい。商業にも同人にも、もったいつけてなかなか話が進まないノベルゲームはよく見られるが、本作は 開始1分で見事に引き込ませてくれる。この作品の特徴は何かと聞かれたら「軽い」ということを第一に挙げたいと 思う。単にテンポがいいというだけでなく、一人称によるテキストの飛ぶようなリズム、適度にコミカルを織り交ぜる 会話、明朗快活なキャラクターたち(猫先生がイチオシ)などが混ざり合い、作品全体が不思議な軽妙さを演出して いるのだ。災厄の原因が他ならぬヒロイン(サカナが隕石を呼んだ張本人)というのも珍しいのでは。

 三太は非力な凡人なので、チェスのように駒を上手に使うことによる頭脳プレイが中心。バリバリのガチンコも いいが、こういうのも活劇系作品の主役になれる。そしてもうひとつの特徴が「エロ日シナリオ」。敵が三太を策略に はめるため、三太を見る者を発情させてしまうという内容だ。物語重視の18禁ノベルゲームにおいてエロシーンを どうやって組み込むかは制作者の永遠の課題だが、これはいい使い方だなと思った。誘惑されてしまった三太が 辿るバッドエンディングはどれも見物。このエロシーンにおいても、作者の言語感覚が光っている(まあ実用性は あんまりないのだけど)。

 黒幕はいったい誰なんだと思いながら最後まで一気に読めたし、何よりテキスト自体が異常に面白い。すでに 開発されている次回作への期待をも高めてくれた一作だった。そして、ほとんどひとりで3年以上もの開発期間を潜り 抜け、無事にリリースさせたことを心から尊敬するし、喜ばしく思う。
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