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AVGレビュー > シェアAVG > ひぐらしのなく頃に 作者サイト名:07th Expansion作者サイトURL:http://07th-expansion.net/ ―そしてあなたは雛見沢で踊った― 2002年夏のコミックマーケットでひっそりと誕生したこの作品は、4年という長期間を経てついに2006年に完結に 至った。月姫と同等以上の類稀なる人気を博したことについては説明不要だろう。2004年からは凄まじいペースで 様々なメディアミックスを果たし、制作側は常に激務に見舞われていたと思う。それでも一回たりともイベントを 落とさず、毎度きっちりと作品を仕上げた努力と意欲、とりわけ、累計数MBに及ぶ膨大なテキスト量を書き上げた シナリオ担当の竜騎士07氏には敬意を表さずにいられない。ひぐらしがノベルゲーム史におけるエポックメイキングであることには、おそらく多くの人が異論を挟まないこと だろう。一気に解決を提示せず、全8話からなる問題編と解決編を小出しにする手法は、実に新しかった。主人公 ではなくプレイヤーに推理をゆだねた結果、数多くの考察サイトや掲示板などが誕生し、ゲーム中だけでなくゲーム外 でも熱くさせた。こんなことは今後他のどのゲームにもできないのでは。この一点だけでも名作と呼ぶにふさわしい 作品だ。文章に関しては『粗は多いが勢いがある』というのが一般的な評価だが、回を重ねるごとに凄惨、悲劇の 描写に磨きがかかっていったように思う。特に解決編に入ってからはゾクゾクさせられることが多かった。 ひぐらしは良くも悪くも騙された感の強い作品だった。正解率1%というキャッチコピーを掲げ、ジャンルは『連続 殺人ノベル』。あくまで常識的なミステリーかと思われたが、そうではなかった。非現実な世界が完全に姿を現した 罪滅し編で批判的な意見を出す人が爆発的に増えた。つまりこのプレイヤーは騙された、あるいは失望したと 感じたのだが、そういった人たちは『常識に則った推理ができるはずであり、そうした世界観だ』と強力に思い込ま されてしまっていたと言えはしないだろうか(もちろん単に架空の病気、架空の薬、ループ、国家権力の介在という 仕掛けが陳腐で気に入らなかったという人も多いと思うが)。問題編4話が出揃った時点ですでに常識的解決の 可能性はかなり低くなっていたし、冷静に考えればファンタジー要素を含まないことなどはありえない。早い段階で トンデモ展開は覚悟できたはずだが、それでもミステリーとして追及し、コミケを待つ間にあれこれと試行錯誤した 人は少なくなかった。この作品では何を考察するべきか――竜騎士07氏の伝達不足も多少あったろうが、超強引とも 言える筆力により、大多数がミスリードさせられてしまったのである。平凡な作品ではプレイヤーをまとめて 騙し、躍らせることなど到底できないはず。個人的には、この圧倒的パワーをこそ称えたい。 いずれにせよ、ひぐらしは終わりを告げた。満足した人があり、そうでなかった人がいる。完結編の発表がなされた 2006年8月以降、この作品を知る人も増えていくだろうが、そうした人たちは本当の意味でひぐらしを楽しむことは たぶん永久にできない。ひぐらしの最大の特徴は、リアルタイムで追わなければ得られない興奮、快感、悲愴感が あったこと。そして筆者はそれを得られたことの幸運に感謝をしたい。
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