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AVGレビュー > シェアAVG > 歌月十夜 作者サイト名:TYPE-MOON作者サイトURL:http://www.typemoon.org/ ―ファンディスクの常識を覆した一作― 2001年にリリースされた月姫のファンディスク。何で今さら取り上げるのかという感じもしないではないのだが (本稿は2007年夏に執筆。6年前の作品をレビューすることになる)、久々にプレイしたらとても面白かったので、 気ままにレビューしてみようと思う。本作はいわゆるループ系の物語。主人公の遠野志貴はなぜか繰り返される1日の謎を追いつつ、本編にはない 破天荒な日常を楽しむ。奈須きのこ氏を語る際は、独特の文体や密度の高い活劇シーンが主に話題になるが、 気の抜けたコメディシーンも上手い。読み進めるうちに「夢十夜」と冠した10のシナリオが選べるようになる。中でも 志貴の父親を描いた「赤い鬼神」が最大の見ものだ。10のうち3つは奈須氏のものではないゲストシナリオだが、 これも問題なく楽しめた。志貴の前に現れる黒猫のレン、もうひとりの志貴、そして最大の敵・軋間紅摩。やがて すべてが収束してループが終わる時、夏休みが終わってしまう時のような、しんみりした感覚が降ってくる。 最大の特長は何かと言えば、ファンディスクと呼ぶにはあまりに膨大なボリュームというのが挙げられるだろう。 原稿用紙換算で軽く1,000枚以上のシナリオは、普通の完成品ノベルゲームと堂々とタメを張れるのだ。いかにも 制作者が好き勝手に詰め込んだというこの分量と構成は、その後FateのファンディスクFate/hollow ataraxiaにも 受け継がれるわけだが、ファンディスクにこれほどの熱い情熱を傾けられる制作チームはほとんど皆無だ。 もはや中古ショップやオークションなどで入手するしかない本作だが、もし月姫がリメイクされるとしても、こちらも されるかどうかは不透明だ。TYPE-MOON、そして奈須きのこ氏の名声が高まる中、本作はいっそうのプレミアが 付いていくかもしれない。欲しいという方はそれなりの出費を覚悟しなければならないのがつらいところだ。
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