

|
|
AVGレビュー > シェアAVG > 潮風の街 作者サイト名:studio WALK作者サイトURL:http://www.studio-walk.com/ ―すぐ身近にある日本の危機― 近年、中国による日本の領海・領空への侵入が問題となっている。先の大戦以来戦争のない日本は平和ボケと よく言われるが、近隣国の狡猾な脅威は21世紀の現代でも確かに存在するという事実は、決して忘れては ならないことだろう。本作は近未来、中国をはじめとする東アジア諸国が、慢性的なエネルギー不足に陥っているという舞台の下で ストーリーが展開する。日本の領土である尖閣諸島周辺で、東シナ海の海底資源を巡る争いが勃発しており、日本の 自衛隊員は過酷な防衛戦に身を細らせている。実際にあってもおかしくない設定で、非常にハードで現実的な 物語ということが感じ取れた。自衛隊の描写は、通信で飛び交う命令や応答メッセージの数々が本格的だ。 よく研究しないとこういう書き方はできないはず。 自衛隊を退官し、故郷に戻ってきた主人公は義妹の茉莉菜らと日常を過ごす。しかし主人公の心は戦地を離れ ない。眠るたびに見る上官や同僚との夢はすっとくる切なさがあり、戦争の悲惨をじっくりと伝えてくる。数多くの 死を目の当たりにしながらも生きて帰ってきた主人公は、なるべく明るく振舞おうとするが暖かい日々の中に完全に 溶け込めないでいる。一度でも戦争に赴いた人間は決して元には戻れないという悲しさが示されるのだ。そして 戦争の侵食する闇は隊員だけではなく周囲の人間にも広がる。特に茉莉菜がテロで死んでしまうシーン(ネタバレ)は 理不尽でやりきれない。全体的に描写はそれほど緻密ではないのだが、アドベンチャーという形式を考えるとこれで 充分だろう。主人公たちの抱える苦しみがダイレクトに伝わってきた。 プレイ後、日本国土の平和などいつ消え去ってしまってもおかしくないのだということを思い知った。同時にたかが エネルギー(たかがとするのも異論はあるだろうけど)の不足で戦争に突入してしまいかねない現代国家の 愚かさが身に沁みた。そして愛する人と死別する恐れを振り切って国土のために戦う人たちに敬意が生まれる。
●トップページへ |