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AVGレビュー > シェアAVG > 月姫 作者サイト名:TYPE-MOON作者サイトURL:http://www.typemoon.org/ ―伝説― 小説を書く者が夏目漱石や芥川龍之介といった大文豪を記憶に留めなければならないように、同人ゲームを 作ろうとする者は、月姫というノベルゲームを記憶しなければならない。このゲームが同人界にもたらした影響は 計り知れない。過去にも商業化を果たした同人ゲームはあったが、月姫の商業進出はそれとは比較のしようもない。 なぜそこまでにブームになったかといえば、理屈ぬきに面白かったからという他はないだろう。余談ではあるが、 筆者がノベルゲームを作るようになったきっかけもこの月姫だった。「文章や物語を読み、書くことはこんなにも 面白いのか」と、痛烈な衝撃を味わったのだ。筋書きは「異能の力を持つ主人公がヒロインと協力して吸血鬼を倒す話」である。各キャラクターも眼鏡の先輩、 強気な妹、双子メイドなど萌えを意識してはいるが、特別際立った作りではなくオーソドックスだ。今日では多くの 類似作品があるため陳腐とも感じられるだろう。それでも人気が爆発したのは、キャラより世界観より何より、シナリオ 担当である奈須きのこ氏の独特の文体が要因に他ならない。カッコいいのだ。活劇部分は当代一と言ってもいいだろう。 もちろん独特ゆえに批判もあるのだが、特に年若い世代にとっては、特撮ヒーローのカリスマ性に近い輝きがあった。 後に多くの同人ノベルゲーム作家がこの文体を模倣したのがその証だ。 こうしてプレイヤーのみならず、同人ショップや同人と無関係な商業関係者をも巻き込み、月姫現象は膨張して いった。燦然と煌く伝説である。もし月姫がなかったら――と想像するのは恐ろしい。同人ノベルゲームは二次制作 中心が続いただろうし、ショップ側もイマイチ活気付かなかったろうし、奈須きのこという才能に世間が気づくことも なかった。また余談になるが、筆者がこんなサイトを運営してこの文を書き連ねることもなかっただろう。 現在は商業に移行したTYPE-MOON。この月姫も長らく商業リメイクが待望されていたが、ついに実現するとの こと。そのままでも完璧な面白さだったのに、どのような変貌を遂げるのか。想像するだけで興奮してくる。
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